経済のグローバル化とアジャイル開発の必然性 〜 注70

公開: 2021年10月22日

更新: 2021年10月22日

注70. 技術者が守るべき倫理観

例えば、自動車のブレーキを、センサからの情報を、組込みコンピュータ上で稼働するソフトウェアで処理し、必要な時、車輪の回転を止めるブレーキを搭載することで、自動車の安全性を向上させる技術がある。一般の人々は、このような技術を応用すれば、自動車をコンピュータで完全に制御することも可能であろうと考える。しかし、この考え方には大きな危険性が潜んでいる。それは、コンピュータを動かしているソフトウェアは技術者によって記述されるものであり、人間が記述する限りにおいては、誤りが混入することを完全に防止することはできない事実である。もし、重要な部分にそのような誤りが混入し、テストで発見することができなければ、大事故が起きる可能性が残ることとなる。テストも人間によって実施されるからである。自動車開発に携わる技術者達は、そのような現実の技術の限界を、一般の人々に分かり易く説明する責任がある。「売れるから」と言う理由で、むやみにそのような自動車を実現し、販売することは、無責任である。

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